秋葉原通り魔事件の加藤死刑囚が見た風景 常に満たされない“何か”が心を蝕んでいったのか|八木澤高明

青森市内の閑静な住宅街の中にある加藤の実家は大通りに面し、すぐ側を八甲田山から青森湾に注ぐ清らかな川が流れている。銀行員の両親と暮らし、県下有数の進学校に通い、加藤死刑囚も両親もすべてが順調に日々の生活を営んでいた筈だった。近所の人にも話を聞いてみたが、誰もがどうしてあんな事件を起こしたのかと首を傾げた。

しかし、加藤死刑囚の心の中には、常に満たされない思いが溢れていたのだろう。人間が他人に見せている姿というのは、多面体のうちのひとつにすぎない。

高校入学後、成績が下降線を辿った加藤死刑囚は大学進学を諦めた。自動車に興味を持っていたこともあり岐阜県内にある自動車整備を学ぶ短大に進学する。短大卒業後に仙台市内で警備員、茨城県内で自動車工場など非正規の仕事を転々とした。事件を起こす直前まで働いていたのもトヨタ自動車の製造工場の期間工だった。